インプラントは絶対にだめ?やめたほうがいいと言われる6つの理由と判断基準
「インプラントは絶対にだめ」「やめたほうがいい」――歯を失って治療を考え始めたとき、こうした言葉を目にして不安になった方は多いのではないでしょうか。
先に結論をお伝えすると、インプラントは「すべての人にだめ」な治療ではありません。
インプラントは失った歯を補う治療(欠損補綴)の選択肢の一つとして広く行われており、厚生労働省の委託事業でも歯科医療従事者向けに「歯科インプラント治療指針」が作成されています。
ただし、持病や服用している薬、歯周病、骨の状態、喫煙習慣などによっては慎重な判断が求められ、治療後もセルフケアと定期的なメンテナンスが欠かせません。
本記事では、「絶対にだめ」と言われる6つの理由と、ご自身に合うかどうかを判断する目安を解説します。
参考:厚生労働省「歯科保健医療情報収集等事業」(歯科インプラント治療指針)
「インプラントは絶対にだめ」と言われる6つの理由
インプラントは、歯を失った部分のあごの骨に人工の歯根(インプラント体)を埋め込み、その上に人工の歯を取り付ける治療です。
「だめ」と言われる理由の多くは、この「骨に埋め込む」という特徴から生まれています。
1. 手術が必要で、神経や血管を傷つけるリスクがある
インプラントは、あごの骨に人工歯根を埋め込む外科手術です。
あごの骨の近くには神経や血管が通っているため、埋め込む位置によっては、しびれや出血などのトラブルが起こる可能性はゼロではありません。
このリスクを抑えるには、歯科用CTなどで骨の厚みや神経・血管の位置を立体的に確認し、適切な治療計画を立てることが重要とされています。
2. 持病や骨の状態によっては受けられないことがある
持病がある方は、その内容によって注意点が異なります。糖尿病や歯周病、喫煙は、手術後の傷の治りや感染、長期的な経過に影響を及ぼす場合があります。
高血圧や心臓病がある場合は手術中の全身管理が重要になり、骨粗しょう症の方については服用している薬の種類も確認が必要です。
また、歯周病や、歯を失ったあとに骨が減ることなどであごの骨が不足していると、そのままでは人工歯根を支えられないケースもあります。
ただし、持病があるから一律に受けられないわけではなく、必要に応じて主治医と連携しながら判断していきます。
骨が足りない場合も「骨造成」という骨を増やす処置で治療できるケースはあるものの、その分、体への負担や期間・費用は増えます。
まずは検査で「自分は受けられるのか」を確認しましょう。
骨造成について詳しくは、インプラント手術ができない時は骨増殖が必要!骨造成の種類や費用相場は?をご覧ください。
3. 入れ歯やブリッジより治療期間が長くなりやすい
インプラントは、埋め込んだ人工歯根と骨がしっかり結合するまで待つ期間が必要です。
そのため、入れ歯やブリッジと比べると治療期間が長くなる傾向にあり、半年以上かかることが一般的です。骨造成を行う場合はさらに長期化します。
治療期間は骨の状態や治療内容によって一人ひとり異なりますので、事前の説明で目安を確認しておきましょう。
治療の流れは、インプラントの治療期間は?治療の流れについて解説もあわせてご確認ください。
4. 原則として保険がきかず、費用が高くなる
インプラントは原則として健康保険が使えない自由診療のため、医院や症例によって差はあるものの、1本あたり数十万円の費用がかかります。保険が使える入れ歯やブリッジと比べると初期費用の差は大きく、これが「だめ」と言われる理由の一つです。
なお、歯科医師による治療費は、病状に応じた治療として一般的に支出される水準を著しく超えない範囲で、医療費控除の対象となる場合があります。費用は「1本いくら」だけでなく、保証の内容や、治療後のメンテナンス・修理にかかる費用も含めて確認しましょう。
1本あたりの費用の内訳や、料金が高くなる背景については、インプラントの費用相場はいくら?1本あたりの治療費用と料金が高額な理由で紹介しています。
参考:国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」
5. 治療後もセルフケアと定期メンテナンスが欠かせない
インプラントは虫歯にはなりませんが、周囲の歯ぐきや骨が細菌感染で炎症を起こす「インプラント周囲炎」を発症するリスクがあります。
インプラントの周りの組織は天然の歯とは構造が異なり、歯垢(プラーク)に対する抵抗力が低いとされているうえ、ご自身では変化に気づきにくい傾向があります。
悪化すると周囲の骨が失われ、インプラントの喪失につながる恐れもあり、骨の状態によってはその後の再治療が難しくなるケースも見られます。
日本口腔インプラント学会も治療後の定期的な経過観察を極めて重要と位置づけており、頻度はお口の状態によりますが3か月〜半年が一般的な目安です。
毎日の歯磨きと定期検診を続けられるかは、事前に考えておきたいポイントといえるでしょう。
メンテナンスの費用や頻度、通院のペースについては、インプラントを長持ちさせるためにはメンテナンスが必要!費用や頻度、期間について解説をご覧ください。
6. 将来、介護が必要になったときのケアに不安が残る
「インプラントは老後が悲惨」という言葉を見かけた方もいるかもしれません。
こうした不安の背景には、高齢になってご自身で十分なお口のケアができなくなると、インプラント周囲炎のリスクが高まるという問題があります。
症例や設計によっては、将来のお手入れのしやすさを考えて取り外し式のインプラントオーバーデンチャーを選んだり、人工歯の部分を作り直したりできるケースもあるものの、すべての症例で可能とは限りません。
将来の不安がある方は、治療前に歯科医師へ相談しておくと安心です。
それでもインプラントが選ばれる3つのメリット
注意点はあるものの、インプラントには他の治療にはないメリットもあります。
- ブリッジのように隣の歯を削ったり、部分入れ歯のようにバネをかけたりする必要がなく、残っている歯への負担を抑えやすい
- 人工歯根で固定されるため、ぐらつきが少なく、しっかり噛みやすい
- 見た目を自然に仕上げやすい
入れ歯・ブリッジとの主な違いは次のとおりです。
| 項目 | インプラント | ブリッジ | 入れ歯 |
|---|---|---|---|
| 手術 | 必要 | 不要 | 不要 |
| 隣の歯への処置 | 基本的に削る必要はない | 支えとなる歯を削る | バネをかけるほか、必要に応じて歯を一部削ることがある |
| 保険適用 | 原則なし | 保険適用の選択肢あり | 保険適用の選択肢あり |
| 治療期間の傾向 | 比較的長い | 比較的短い | 比較的短い |
| 取り外し | 固定式が一般的※ | 固定式 | 取り外し式 |
※インプラントを利用した取り外し式の入れ歯(インプラントオーバーデンチャー)もあります。
インプラントが向いている可能性がある人・慎重に検討したい人
「自分はやめたほうがいいのか」は、次の3つの軸で整理すると判断しやすくなります。
| 判断の軸 | 確認する内容 |
|---|---|
| 体の状態として治療を受けられるか | 持病、服用している薬、歯周病、骨の量、喫煙習慣 |
| 治療後の管理を続けられるか | 毎日のお手入れ、定期検診、将来の通院や介護の環境 |
| 他の治療より自分に合っているか | 費用、治療期間、入れ歯・ブリッジとのメリット・デメリット |
インプラントが向いている可能性がある人
- 健康な歯を削りたくない
- 入れ歯の違和感や、外れる不安を避けたい
- 費用がかかっても、長期的な維持を見据えた治療を希望している
- 毎日のケアと定期検診を続けられる
インプラントを慎重に検討したい人
- 糖尿病や心臓病など、コントロールが必要な持病がある
- 骨粗しょう症の治療などで骨吸収抑制薬を使用している
- 喫煙習慣があり、減煙・禁煙が難しい
- 歯周病が進んでいる、または以前「骨が少ない」と言われたことがある
- 定期的な通院が難しい
- 費用や治療期間の負担を大きく感じる
- 金属アレルギーの既往がある(人工歯根は主にチタン製で生体親和性が高いとされていますが、過敏反応の可能性はゼロではないため、事前に歯科医師へ伝えてください)
これらに当てはまっても、一律に治療できないという意味ではありません。検査で状態を確認し、入れ歯・ブリッジも含めた選択肢を歯科医師と比較したうえで決めましょう。
後悔しないために確認したい4つのポイント
国民生活センターが2019年に公表した資料では、インプラント治療後のトラブルに関する相談事例が報告されており、治療前の検査やリスクの説明が十分でなかったケースも含まれていました。
医院を選ぶ際は、次の4点を確認しましょう。
- 症例に応じてCTなど必要な検査を行い、治療計画を説明してくれるか
- 担当する歯科医師の資格名や認定団体、治療経験
- 費用の内訳、保証の内容、追加費用の有無を事前に示してくれるか
- 治療後のメンテナンス体制が整っているか
参考:国民生活センター「あなたの歯科インプラントは大丈夫ですか」
これらは、初回のカウンセリングで確認しておきたい項目です。以下では、当院の取り組みをご紹介します。
湘南ライフ歯科藤沢のインプラント治療
湘南ライフ歯科藤沢では、日本口腔外科学会認定医で日本口腔インプラント学会に所属する院長を中心に、インプラント治療を行っています。
歯科用CTで骨や神経の位置を確認し、症例に応じてシミュレーションやサージカルガイドを活用しながら、計画した位置への埋め込みを目指しています。
あごの骨が少ない方への骨造成(GBR・サイナスリフト・ソケットリフト・ベニアグラフト)にも対応可能です。
入れ歯・ブリッジも含めた選択肢を比較しながらご説明しますので、お気軽にご相談ください。
自由診療について
※インプラント治療および骨造成は自由診療(保険適用外)です。
治療内容:人工歯根をあごの骨に埋め込み、骨と結合したあとに人工の歯を取り付けます。骨が足りない場合は骨造成(GBR・サイナスリフト・ソケットリフト)を併用することがあります。
費用:1歯あたり451,000円〜(税込。メーカーにより異なります)。CT撮影11,000円。骨造成が必要な場合はソケットリフト55,000円〜、GBR 66,000円+材料費、サイナスリフト330,000円、ベニアグラフト330,000円が別途かかります(サイナスリフトとベニアグラフトは静脈内鎮静法IVSが必要となる場合が多いです。コスト110,000円です。)
期間・回数:骨造成を行わない場合で治療期間3〜6か月程度、通院5〜8回程度。骨造成を行う場合は、さらに半年〜1年間程度の治癒期間が加わることがあります。
主なリスク・副作用:術後の腫れ・痛み・出血、感染、神経損傷によるしびれ、人工歯根と骨が結合しないこと、インプラント周囲炎など。骨造成では期待した骨量が得られないことや、上顎洞の粘膜を傷つけるリスクがあります。持病や喫煙の有無によっては、事前に主治医との相談や体調管理が必要となり、すぐに治療を開始できないことがあります。
詳細はインプラント治療のページをご確認ください。
このコラムの監修者



小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
| 日本口腔外科学会 |
| 日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
| 歯学博士(口腔外科学専攻) |
| 日本口腔外科学会認定医 |
| 厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
| アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |