虫歯は本当に抜歯が必要?抜歯するケースやリスク、抜歯後の注意点をまとめて解説
藤沢駅南口より徒歩3分の歯科医院【湘南ライフ歯科】です。
治療目的で歯科医院へ行くとき、抜歯をする必要があるのか気になりますよね。
状態によっては抜歯を行う必要があります。
抜歯が必要な状態や抜歯時の注意点について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
どんなときに歯を抜くの?
虫歯や歯周病は主に「ミュータンス菌」という病原菌によって引き起こされます。
軽度の歯周病や虫歯の場合、抜歯をせずに治療を行えますが、重度になると歯を残したくても残せないことがあります。
- ・重度の虫歯
- ・歯根が割れてしまった場合
- ・矯正治療
- ・親知らず
- ・乳歯の生え変わり
それぞれの症状となぜ抜歯が必要なのかを解説します。
重度の虫歯
軽度〜中等度であれば歯を残したまま治療は可能ですが、重度の虫歯「C4」といわれる段階まで進行してしまうと、歯を支えている骨が溶け、歯を支えられなくなってしまいます。
また、細菌感染した歯をそのままにしておくと、周りの歯にも感染が広がり、口腔内全体が細菌に侵される危険性が高いです。
他の歯を守るためにも抜歯が必要となります。
歯根が割れてしまった場合
歯ぎしりの癖があると、歯に過剰な力がかかり続け、歯根破折を起こすリスクがとても高いです。
歯根が割れた位置が骨の浅い位置ならば、歯を抜かずに治せる可能性があります。
しかし、折れた歯根を放置してしまうと、その隙間から細菌がどんどん奥へ侵入し炎症を引き起こします。
炎症が起こると、強い痛みや歯茎の腫れ、口臭などの症状を伴います。
また、炎症が骨まで達してしまうと、骨髄炎や蓄膿症になる恐れがあります。
そのため、抜歯が必要になる場合が出てきます。
矯正治療
顎の大きさに対して歯の数が多い場合や歯が大きい場合、歯が顎に収まりきれないため、抜歯をすることでスペースを作ることがあります。
矯正しても改善できないほどかみ合わせがよくない場合にも、抜歯をすることがあります。
親知らず
親知らずは一番奥にある歯のため、歯磨きが難しく、虫歯や歯周病になりやすい歯です。
虫歯や歯周病になると、時には痛みや腫れが生じ、抜歯が必要になる場合もあります。
痛みや腫れだけでなく、隣の歯を溶かしてしまったり、嚢胞や腫瘍の原因になったりすることもあるため、歯が痛んだ際は早めに歯科医院を受診することをおすすめします。
ただし、痛みや腫れがなく、親知らずが正常に生えて問題がない場合は、抜歯の必要はありません。
乳歯の生え変わり
乳歯から永久歯に生え変わる際、乳歯が邪魔をしているときも抜歯をすることがあります。
早い段階で乳歯の抜歯を行うと、隣の歯が傾き永久歯の生え変わりに支障をきたす場合があります。
そのため、抜歯のタイミングはとても重要です。
生え変わりの時期に、歯の根っこの先端に膿がたまっている場合も、乳歯の抜歯を行います。
膿をそのままにしてしまうと、永久歯に悪影響を及ぼすためです。
抜歯のリスクと抜かないリスクについて
抜歯にはリスクが伴いますが、抜かないことによるリスクもあります。
双方のリスクについて詳しく説明します
抜歯のリスク
【リスク1】麻酔によるショック症状
抜歯の際、麻酔によるショック症状がまれに起こることがあります。
歯科医師やスタッフの言葉、診察室の雰囲気などに、精神的に恐怖を感じてしまったところに、アドレナリン(麻酔)を注射することにより、ショック状態になってしまうことがあるのです。
【リスク2】抜歯の最中の急激な血圧上昇
患者さんが極度に緊張している場合は、急激に血圧が上がるリスクがあります。
抜歯する歯の根が曲がっていると、処置に時間がかかることがあります。
また抜歯があまり得意ではない歯科医師が行ったりする場合も同様に時間がかかることがあります。
これらの理由から、患者さんは体だけでなく精神的にも負担がかかり、強いストレスから血圧が上昇し、出血の原因になることがあります。
【リスク3】上顎洞を傷つけて穴を開けてしまう
顎の第一大臼歯や親知らずを抜くときに、上顎洞を傷つけて穴を開けてしまうことがありますが、事前にレントゲンやCTを撮影すればリスクがわかります。
穴が開いてしまった場合、以下のことが起こる可能性があります。
- ・歯痛
- ・頭痛
- ・鼻血(軽度の場合)
- ・歯性上顎洞炎(鼻づまり、黄色い鼻水が出る、目の奥が痛む)
抜かないリスク
悪くなった歯をそのまま抜かずにいると、周囲の健康な歯まで悪くなってしまうことがあります。
また、抜歯をしないで放置すれば、口腔内にもさまざまな悪影響を与えてしまいます。
そのまま放置すると、歯周病が広がってしまい多くの歯を失ってしまう可能性があります。
そうなるとさらに治療の難易度が上がり、選択肢も少なくなっていきます。
抜かないことで身体的負担や治療期間、費用が増加することになってしまうのです。
虫歯の抜歯後に注意すること
抜歯をした際に、気を付けなければならないことがいくつかあります。
うがいは優しくする
抜歯したあとのうがいは優しく行いましょう。
強く行うと、傷口を覆うふたの役割をしている血餅(血液が凝固したもの)などが剥がれてしまい、治りが遅くなることがあります。
歯磨きは普段より優しくする
抜歯後の傷の部分に毛先が強く当たらないように気を付けましょう。
抜歯した部分さえ気を付ければ、他の歯は普段通りに歯磨きを行って問題ありません。
激しい運動は避ける
施術の翌日には運動も可能ですが、抜歯後に痛みがある場合や腫れがひどい場合は、それらの症状が治まるまでは激しい運動はしないようにしましょう。
入浴は控える
抜歯当日の入浴は控えてください。
当日は傷口が治っていないため、出血が続いていることも多いです。
過剰な出血を防ぐためにも、シャワーで済ませるようにしましょう。
抜歯後すぐの飲食
抜歯したあとは、しばらく出血が起こるので、止まるまでは飲食を避けた方がよいです。
血が止まらないうちに水分を取ると、血が止まりにくくなってしまいます。
血が止まったあとは飲食をしても大丈夫です。
抜歯翌日の食事について
抜歯の翌日の食事には、刺激物を避けるようにしましょう。
おすすめは、柔らかいうどんなどです。
また、抜歯したところに食べ物が詰まった場合は、つまようじや指などで無理に取ろうとせず、軽く口をすすぎましょう。
それでも取れないときは、歯科医院へご相談ください。
抜歯後2~3日は飲酒不可
お酒を飲むと血の巡りがよくなるため、腫れがひどくなり、傷口の治りに大きく影響してきます。
痛みが増したり、出血が止まりにくくなったりすることもあります。
また、お酒を飲むと抜歯後に服用する抗生物質の効きがよくなりすぎてしまうため、副作用が出やすくなるという危険性があります。
抜歯をしたあと放置すると?
歯を抜いたままにしておくと、抜けた歯の部分の空間が狭くなり、噛む力が低下してしまいます。
抜きっぱなしにした場合と、抜歯後にどのような治療があるのかについて説明します。
抜きっぱなしにした場合
抜歯したあとそのまま放置すると、噛み合わせに問題が生じることがあります。
噛み合わせがずれた場合、めまいや耳鳴りなどさまざまなトラブルが起こってしまいます。
抜歯後は放置せずに、早めに治療をするようにしましょう。
インプラント治療について
抜歯後の治療としてインプラント治療があります。
インプラントとは、顎の骨の中にインプラント体(人工歯根)を埋め込み、その上に被せ物を装着するという治療方法です。
人工歯根、第二の永久歯ともいわれ、前歯から奥歯まで治療が可能です。
インプラントのメリット
・よく噛める
インプラントは自身の歯(天然歯)より強く噛むことができるため、焼肉やおせんべいなど硬い食べ物も、しっかりかめるようになります。
・歯を削る必要がない
ブリッジをする場合は、抜歯した歯の両サイドの歯を削らないといけません。しかし、インプラントは削る必要がないため、他の歯の寿命が大幅に伸びます。削らないというメリットは歯にとって非常に大きなものです。
・入れ歯のようにバネがかかった歯が傷まない
入れ歯は、天然の歯にバネを引っかけて支えるため、数年でぐらぐらになって抜かなくてはならなくなります。
それを繰り返しているうちに、どんどんと歯が減っていき、総入れ歯に近づいてしまいます。
インプラントはこの悪循環を断ち切ってくれます。
・取り外し不要インプラントは完全固定式のため、入れ歯のように取り外して洗うという、わずらわしさがありません。
インプラントのデメリット
・手術が必要
インプラントは骨の中に人工の歯を埋め込むため、手術が必要になります。
・体質や病気によっては治療ができない場合がある
骨そしょう症や、心臓疾患、脳血管障害の方などは、手術ができないこともあります。
・費用がかかる
インプラントは保険が適用されないため、費用が高額になることもあります。
・ブリッジや入れ歯より期間がかかる
インプラントは骨の中に人工歯根を埋め込んでから、骨とくっつくまでの期間を3か月前後要します。
くっつくのを待っている間は、医院に通う必要はありません。
入れ歯による治療について
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯があります。
どちらにも保険適用と自費診療の入れ歯があります。
入れ歯のメリット
- ・ブリッジ治療のように、抜歯した歯の両サイドの歯を削らなくてよい
- ・材質は限られるが保険が適用される
- ・取り外しできるので掃除がしやすい
- ・1本からでも作成が可能
入れ歯のデメリット
- ・口の中で違和感が強い
- ・バネのかかる歯は負担が大きいため数年でぐらぐらしてくる
- ・食べ物のかすが残りやすく、口の中が不衛生になりやすい
- ・硬いものや餅などを噛むのに苦労する
- ・臭いが付きやすいため口臭の原因となる
- ・毎日洗浄して清潔な状態で使用しないと口腔内が不潔な状態になり、細菌が増えてしまう
- ・総入れ歯だと、外したときに顔がしぼんでしまうため老けて見える
まとめ:虫歯が気になる方は歯科医院を受診しましょう
ここまで解説してきた内容をあらためて箇条書きでまとめます。
- ・重度の虫歯は抜歯になる可能性が高い
- ・食いしばりが強いと歯根が折れてしまう
- ・抜歯には抜くリスクもあるが抜かないリスクもある
- ・抜歯後の飲酒は不可
- ・歯を抜いたままにしておくと、噛み合わせに問題が生じ、噛む力が低下する・抜歯したまま放置すると噛み合わせなどの問題によりトラブルが生じる
虫歯が進行して抜歯となってしまう前に歯科医院で診てもらいましょう。
湘南ライフ歯科では、一人ひとりのお悩みに寄り添い、虫歯治療をはじめ歯に関する相談を承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |