歯茎から膿が出る原因と対処法を解説|潰していい?応急処置について
歯茎から膿が出る原因や対処法を紹介|自分で潰していい?
こんにちは。
藤沢駅南口より徒歩3分の歯科医院【湘南ライフ歯科】です。
歯茎から膿が出るとき、まず原因が何であるか知ることが大切です。
原因によっては、歯科医院を受診しなければいけないケースがあります。
本記事では、歯茎から膿が出るときの原因や対処法、してはいけないことを解説します。
目次
歯茎の膿を自分で潰していい?
結論から申し上げると、膿の袋を見つけても自分で潰さないようにしてください。
自分で膿を出そうとすると、細菌感染のリスクが高まります。
膿を取り除こうと直接指で押したり針を刺したりすると、さらに症状がひどくなってしまいます。
膿をすべて取り除くには、膿ができる根本的な原因をなくすことが大切です。
歯茎から膿が出る原因とは?
歯茎から膿が出るとき、なんらかの原因があると考えられます。
原因によっては歯科医院を受診する必要があるため、膿が出たときはまず原因を明確にしましょう。
ここでは、歯茎から膿が出る原因を5つ紹介します。
歯周病
歯周病は、歯の周りの組織に炎症が起きる病気です。
歯周病が進行すると化膿するケースがあり、排膿の症状がひどくなるほど歯周病も重度化していると判断できます。
歯周病をそのまま放置すると、進行するにつれ歯周ポケットの深さが増し、歯を支える骨を徐々に溶かしてしまいます。
歯周病の症状が悪化することで、歯がぐらつき抜けてしまう歯槽膿漏になる恐れもあります。
また歯周病は、自然治癒できないため歯科医院を受診することが大切です。
歯周病を治すには、歯茎を切って直接膿を取り除いたり、歯周ポケットの中にある歯石や感染組織を除去したりする必要があります。
根尖性歯周炎
根尖性歯周炎は、歯の根の先に膿がたまる病気です。
虫歯が原因で歯の神経が死んでしまうことで生じる病気であり、その歯の根にある膿の袋が膨らんで歯茎に穴が空くことで膿が出てきます。
根尖性歯周炎が原因で生じた膿は、歯を支える骨が溶けてできたもので、根尖性歯周炎を放置すると骨の量が減少する恐れがあります。
症状が悪化することで、副鼻腔炎を発症させる原因にもなるので早期発見・早期治療が重要です。
また根尖性歯周炎を治療するには、根管治療を行って細菌を取り除く必要があります。
ただし、過去に根管治療を行ったことがある場合、再度歯の内部を削らなくてはいけないので、歯が割れてしまうリスクが高まります。
排膿の症状がひどすぎると、根管治療をせずに抜歯しなければいけないケースもあるので理解しておきましょう。
虫歯が原因で歯茎が腫れるときの詳しい治療法については「虫歯で顔や歯茎が腫れる?腫れる原因や治療法について解説」をご覧ください。
歯根破折
歯根破折は、なんらかの原因で歯が折れたり割れたりする症状です。
歯が折れたり割れたりした部分から細菌が入ると、炎症を起こして膿が出ることがあります。
物をかんで痛みが生じたり、不自然に歯がグラグラしたりするときは、歯根破折の恐れがあるので異変を感じた際には歯科医院を受診しましょう。
歯根破折を放置すると、歯周病や根尖性歯周炎を発症してしまうケースがあります。
歯に隙間がある限り細菌が入り込むリスクがあるので、隙間をなくすための治療を行わなくてはいけません。
何度も化膿を繰り返してしまう恐れがあるため、早期治療を行うことが大切です。
歯根破折を治すには、破折した歯の片側または歯そのものを抜歯しなければいけません。
歯を半分残した場合、隣の歯とブリッジでつなげて治療を行うケースがあります。
智歯周囲炎
智歯周囲炎は、親知らずと歯茎の間に汚れがたまり炎症が生じる病気です。
親知らずが斜めや横に生えていたり、生えきっていなかったりすると、智歯周囲炎になりやすいです。
智歯周囲炎を放っておくと、化膿や痛みの悪化、口臭が強くなる、他の歯が虫歯になる、歯周病になる、噛み合わせのバランス、歯並びの変化などのトラブルにつながります。
排膿が原因で口腔内が不衛生になり、他の歯が虫歯になったり歯周病になったりする恐れもあります。
智歯周囲炎の症状は、抗生物質の服用のみで治るケースがほとんどです。
ただし、抗生物質を服用しても頻繁に炎症を繰り返す場合は、親知らずの抜歯を検討しましょう。
抜歯で残ってしまった歯の根元
歯根が複雑になっていたり、曲がっていたりすると、抜歯しても歯根が残ってしまうケースがあります。
歯根が残ることで、細菌が入って内部で炎症が起こったり膿が出たりする恐れがあります。
抜歯で残った歯の根元は、放っておいても自然に出てくるケースが多いので、経過観察で様子を見ることがほとんどです。
ただし、炎症が進行している場合は、根尖病変を発症するリスクが高いので、残った歯を取り除く必要があります。
歯茎から膿が出たときの応急処置
歯茎から膿が出たとき、歯科医院の診療時間外ですぐに受診できないこともあるでしょう。
その場合、膿を放っておくのではなく、家でできる処置を行う必要があります。
ここでは、歯茎から膿が出たときの応急処置を3つ紹介します。
口内を清潔に保つ
歯茎から膿が出たら、口腔内が不衛生にならないよう清潔に保ちましょう。
口内が不衛生だと、症状が悪化してしまう恐れがあります。
口内を清潔に保つには、毎日の丁寧な歯磨きが大切です。歯磨きをする際は、患部を直接磨かないように注意しましょう。うがい薬や洗口液で口内ケアを行うこともおすすめですが、歯茎への刺激を避けるためにアルコールが入っていないものを選んでください。
患部を冷やす
膿が出た部分が熱を持っている場合、まずは患部を冷やしましょう。
保冷剤をタオルで巻いて皮膚の上から当てると、症状が緩和される場合があります。
氷を口に含んで直接冷やすと、かえって症状を悪化させてしまう恐れがあります。
痛み止めを飲む
排膿によって強い痛みが伴うときは、痛み止めを服用しましょう。
歯科医院で処方してもらえる痛み止めではなくても、市販の鎮痛剤で十分です。
痛み止めを飲んで症状が緩和されても、膿が出る原因を明確にするために歯科医院を受診してください。
歯茎から膿が出たときの注意点
歯茎から膿が出たときに備えて、家でできる応急処置だけではなく、してはいけないことも把握しておきましょう。
誤った処置を行うと、症状を悪化させてしまう原因にもなります。
ここでは、歯茎から膿が出たときの注意点を2つ紹介します。
膿を無理やり出さない
膿が出ている箇所は、強く圧迫したり、針を刺して膿を出したりしないようにしましょう。
無理やり膿を出そうとすると、傷口が広がって状態が悪化する恐れがあります。
患部を手で触ると、細菌感染のリスクが高まります。
血流の促進を防ぐ
血流を促進すると痛みや腫れの状態が悪化しやすいので、血液の流れを促さないようにしましょう。
血流の促進を防ぐために、激しい運動や長時間の入浴、飲酒は避けてください。
化膿している間は、入浴はせずに短時間かつシャワーで済ませることをおすすめします。
まとめ:歯茎から膿が出て痛みが伴うなら早めに受診しよう
歯茎から膿が出る原因をあらためて紹介します。
- ・歯周病
- ・根尖性歯周炎
- ・歯根破折
- ・智歯周囲炎
- ・抜歯で残ってしまった歯の根元
膿が出てもすぐに歯科医院を受診できない場合、家でできる応急処置を行う必要があります。
ただし応急処置や放置では根本的な原因が解決できず、歯科医院に行かなくてはいけないケースがあるので注意しましょう。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |