インプラントオーバーデンチャーとは?金額やメリット・デメリットについて
入れ歯やインプラント治療について調べていると、「インプラントオーバーデンチャー」という言葉をよく目にするかと思います。
インプラントオーバーデンチャーといわれても、どんな治療法なのか分からないと、自分に適しているのかどうか判断しにくいのではないでしょうか。
そこで本記事では、インプラントオーバーデンチャーについて詳しく解説します。治療法やメリット・デメリット、費用の平均相場など、歯科医院に行く前に知っておきたい情報をまとめています。
残存する歯が少ない方、入れ歯を検討している方などは、ぜひご参考ください。
目次
インプラントオーバーデンチャーとは
インプラントオーバーデンチャーとは、取り外し可能な入れ歯をインプラントで固定する治療法のことです。他にも「オーバーデンチャー」と略して呼ばれることもあります。
通常の入れ歯は粘膜だけで支えるため、外れやすかったりズレたりする恐れがあります。
しかしインプラントオーバーデンチャーは、骨にインプラントを埋め込み、そのインプラントと入れ歯を固定することで、安定性が高くなり、しっかり噛めるようになります。ズレによる痛みや外れやすいといった、トラブルを大幅に軽減できるところが特徴です。
またインプラントオーバーデンチャーは、総入れ歯から部分入れ歯まで、幅広く対応しています。
通常の入れ歯よりも使い勝手がよく、機能性も高いことから注目されています。
インプラントオーバーデンチャーの金額・費用
インプラントオーバーデンチャーの平均相場は、総入れ歯の場合で50〜150万円ほど(義歯込み)です。金額は、口腔状態やインプラントの埋入本数・固定方法によっても異なります。
ちなみに保険診療で作る総入れ歯の費用は、1割負担の場合が約3,000円、3割負担の場合が約9,000円ほどですので、高額であることがわかります。
ただし、インプラントオーバーデンチャーには、保険診療の入れ歯よりも安定感があるので、しっかり噛めるというメリットがあります。
インプラントオーバーデンチャーは保険適用外
残念ながらインプラントオーバーデンチャーは保険適用外の治療法です。そのため、費用は全額自己負担となります。
ただし、インプラントは医療費控除の対象ですので、確定申告をすれば所得税の一部が戻ってきます。
ちなみに同じインプラント治療でも、上顎(もしくは下顎)にインプラントを埋入し、上部にセラミック歯を被せる治療法は、250万円以上かかることが予想されます。
その点、インプラントオーバーデンチャーは、上部構造が入れ歯となるので、比較的費用を抑えらる点が特徴です。
(関連記事)インプラントの治療費は医療費控除になる?申請方法や計算方法を解説|藤沢駅南口より徒歩3分の歯医者|湘南ライフ歯科
インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリット
インプラントオーバーデンチャーのメリット
インプラントオーバーデンチャーのメリットは、以下のとおりです。
- 通常の入れ歯よりも安定する
- しっかり噛めるようになる
- ズレる心配がない
- 入れ歯は取り外して手入れできる
- 大きな外科手術が不要
- 全歯をインプラントにするよりも治療費を抑えられる
通常の入れ歯の場合、顎骨に負担がかかりやすく、次第に骨が痩せ細ってしまうため定期的に作り直さなければいけません。
その点、インプラントオーバーデンチャーなら、顎骨への負担を軽減できるので、長く使用できます。修理費やメンテナンス費用など、維持費がかかりにくいところもメリットの1つです。
H3 インプラントオーバーデンチャーのデメリット
インプラントオーバーデンチャーのデメリットは、以下のとおりです。
- 保険適用の入れ歯よりも費用がかかる
- 残存する歯に被せる場合は、虫歯のリスクが上がる
- 治療できない場合もある
インプラントオーバーデンチャーは部分入れ歯にも対応していますが、残存する歯に被せる場合は、隙間から細菌が入り込みやすくなるので、虫歯のリスクが高くなります。
しっかり歯磨きすること、そして歯科医院での定期検診が大切です。
またインプラントオーバーデンチャーは、誰でも受けられる治療ではありません。持病がある方やヘビースモーカーの方など、場合によっては断られる可能性もあります。
まずは治療を受けられるかどうか、医師に相談するようにしましょう。
インプラントオーバーデンチャー治療の流れ
インプラントオーバーデンチャーのメリット・デメリットを理解したところで、手順について解説します。
治療方法は、以下の手順に沿って行われます。
- ①顎の骨に、インプラントを2~4本埋め込む
- ②インプラントの上に、入れ歯を連結するためのパーツを接続する
- ③装着する入れ歯に、パーツとくっつく留め具を埋め込む
入れ歯を装着する際、パーツと留め具がカチッと連結するので、しっかり固定されます。
また入れ歯と連結するパーツには、さまざまなタイプがあるので、希望に併せて選べるところも特徴です。
パーツの種類 | 特徴 |
---|---|
ボールタイプ | ヘッド部分が丸く、ボール状になっているタイプ 入れ歯の取り外しが簡単にできる |
磁石タイプ | 磁石で固定するタイプ 装着が簡単で、お手入れも楽にできる |
バータイプ | インプラント体をバーで連結するタイプ 連結部分が多くなるので、ボールタイプや磁石タイプよりも、安定感が増す |
パーツの種類 | |
---|---|
特徴 | |
ボールタイプ | ヘッド部分が丸く、ボール状になっているタイプ 入れ歯の取り外しが簡単にできる |
磁石タイプ | 磁石で固定するタイプ 装着が簡単で、お手入れも楽にできる |
バータイプ | インプラント体をバーで連結するタイプ 連結部分が多くなるので、ボールタイプや磁石タイプよりも、安定感が増す |
インプラントオーバーデンチャーとその他治療法との違い
①オールオンフォーの違い
インプラントオーバーデンチャーとよく似た治療法に、オールオンフォーというものがあります。
オールオンフォーとは、顎に最小4本のインプラントを埋め込み、ブリッジの歯を固定する治療法です。
インプラントで完全に固定するので、オーバーデンチャーよりも安定感が増します。
さらにオーバーデンチャーは取り外して洗浄する必要がありますが、オールオンフォーは取り外す必要がないため、自分の歯のようにケアできます。
入れ歯自体に抵抗を感じる方におすすめの治療法です。
ただし、費用に関してはオーバーデンチャーのほうが低価格です。そもそも装着するものが、入れ歯とブリッジなので、入れ歯のほうが費用は安く抑えられます。
また使用するインプラントも、オールオンフォーは最小4本ですが、オーバーデンチャーは最小2本なので、半額以下で済むことがほとんどです。
②入れ歯・ブリッジとの違い
歯を失ったときの治療法は、主に下記の3つです。
- インプラント
- 入れ歯
- ブリッジ
それぞれの違いについて解説します。
比較項目 | インプラント | 入れ歯(部分) | ブリッジ |
---|---|---|---|
治療法 | 顎にインプラント体を埋め込み、セラミックや入れ歯などを被せる | 両隣の歯を削り、橋渡しのように人工の歯を入れる | 両隣の歯にフックをかけて、人工の歯を装着する |
安定性 | ◎ 安定性が高く、半永久的に使用できる | △ 調整や作り変えの頻度が多い | 〇 安定性はあるが、寿命は7~8年ほど |
咬合力 | ◎ しっかり噛める | ✕ 噛む力は劣る | 〇 しっかり噛めるが、大きな負担はかけられない |
歯への影響 | ◎ 全くなし | ✕ フックをかけるときに、歯に負担をかける | ✕ 隣り合う歯を削る必要がある |
治療本数 | ◎ 多くても可 | ◎ 多くても可 | ✕ 多いと不可 |
手術 | 外科手術が必要 | 必要なし | 必要なし |
経済的負担 | 保険適用外 | 保険適用 | 保険適用 |
比較項目 | |
---|---|
インプラント | |
治療法 | 顎にインプラント体を埋め込み、セラミックや入れ歯などを被せる |
安定性 | ◎ 安定性が高く、半永久的に使用できる |
咬合力 | ◎ しっかり噛める |
歯への影響 | ◎ 全くなし |
治療本数 | ◎ 多くても可 |
手術 | 外科手術が必要 |
経済的負担 | 保険適用外 |
入れ歯(部分) | |
治療法 | 両隣の歯を削り、橋渡しのように人工の歯を入れる |
安定性 | △ 調整や作り変えの頻度が多い |
咬合力 | ✕ 噛む力は劣る |
歯への影響 | ✕ フックをかけるときに、歯に負担をかける |
治療本数 | ◎ 多くても可 |
手術 | 必要なし |
経済的負担 | 保険適用 |
ブリッジ | |
治療法 | 両隣の歯にフックをかけて、人工の歯を装着する |
安定性 | 〇 安定性はあるが、寿命は7~8年ほど |
咬合力 | 〇 しっかり噛めるが、大きな負担はかけられない |
歯への影響 | ✕ 隣り合う歯を削る必要がある |
治療本数 | ✕ 多いと不可 |
手術 | 必要なし |
経済的負担 | 保険適用 |
違いを理解できれば、自分に適した治療法がどれなのか判断できるでしょう。
(関連記事)インプラントと差し歯の違いとは?入れ歯やブリッジも含めて徹底比較|藤沢駅南口より徒歩3分の歯医者|湘南ライフ歯科
インプラントはどんな方におすすめ?
- 残っている歯に負担をかけたくない
- しっかり噛めるようにしたい
- 義歯のように取り外しの手間をかけたくない
- 欠損している歯が多い・残っている歯が少ない
このような方は、インプラントの治療を検討してみてください。
(関連記事)インプラントのメリット・デメリットとは?ブリッジや入れ歯と比較|藤沢駅南口より徒歩3分の歯医者|湘南ライフ歯科
インプラントのご相談は湘南ライフ歯科へ
インプラントオーバーデンチャーは、通常の入れ歯よりも安定性が増し、しっかり噛めるようになります。
特に、残存している歯が少ない方、まったく歯がない方におすすめの治療法です。
しかし、インプラントオーバーデンチャーが、その効果を発揮できるかどうかは、残存している歯の状態や咬合力のバランスを考えた「設計」と入れ歯の強度を考えた「デザイン」が鍵となります。
湘南ライフ歯科では、インプラント治療における知識や経験を豊富にもつ医師が対応するので、安心です。
また設備も充実しており、満足のいく仕上がりが期待できるでしょう。
入れ歯を検討中の方、インプラント治療に興味のある方は、当院にお気軽にご相談ください。
このコラムの監修者
小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |