虫歯で顔や歯茎が腫れる?腫れる原因や治療法について解説
「虫歯で顔や歯茎が腫れることはある?」などと不安を抱えていませんか?
虫歯を放置すれば膿が溜まって炎症を起こす可能性があります。そのほか、歯周病や親知らずなどによって、歯茎や顔が腫れることもあります。
炎症による腫れは自然に治りにくいので、歯科医院で治療を受けなければなりません。
この記事では、虫歯で歯茎が腫れる原因や応急処置の方法、虫歯や歯周病を放置するリスクについて解説しています。
目次
虫歯で歯茎や顔が腫れることはある?
結論から言えば、虫歯を放置すると歯茎や顔が腫れることがあります。
放置した虫歯の中で細菌が繁殖して炎症を起こしている状態です。腫れを放置すれば神経のない歯でも激しく痛みを感じるようになります。
虫歯による歯茎や顔の腫れは自然に治ることはありません。放置すれば炎症がさらにひどくなるため、できる限り早めに歯科医院を受診して治療を受ける必要があります。
虫歯で腫れるのはなぜ?虫歯を放置してから腫れるまでの経過
虫歯には以下5つの進行段階があります。
- C0:歯が脱灰している状態
- C1:エナメル質まで虫歯が進行している状態
- C2:象牙質まで虫歯が進行している状態
- C3:歯髄にまで虫歯が進行している状態
- C4:神経が壊死している状態
虫歯で顔や歯茎が腫れるのは、歯の根本に膿が溜まっているためです。C4をさらに放置すると、徐々に膿が溜まっていきます。
通常、膿が溜まると歯茎が腫れるものの、頬・顔まで腫れることはありません。
しかし、膿が筋肉など歯の周りの組織にまで広がると、頬まで腫れることがあります。膿が溜まるにつれて激しい痛みを感じやすくなります。
虫歯の腫れを押すと痛い!顔や歯茎が腫れた時の対処法・治療法
虫歯による腫れは炎症を起こしている状態なので、押すと痛みを感じます。歯茎や顔が腫れた時は早急に治療を受けることが大切です。
すぐに歯科医院へ行けない場合は、痛みを抑えるために、以下の対処法を試してみてください。
- 患部を冷やす
- うがい薬を使用する
- 痛み止めを使用する
- 患部への刺激を避ける
氷袋や氷嚢などを、頬の外から当てて冷やすことで痛みを和らげられます。
うがい薬を使用することで、口腔内を殺菌するのも有効です。アルコール系のマウスウォッシュは腫れを悪化させる可能性があるため、ノンアルコール系を使用しましょう。
そのほか、痛み止めを使用したり、患部への刺激を避けたりするのも大切です。
ただし、上記はあくまでも応急処置に過ぎないので、できる限り早めに歯科医院を受診してください。
虫歯以外で歯茎が腫れる3つの原因
虫歯以外にも、歯茎が腫れる原因には主に次の3つがあります。
- 歯周病や歯肉炎
- 親知らずの周りの炎症
- 歯茎または顎骨の腫瘍
そのほかにも、仕事の疲れや睡眠不足、ストレスなどが原因で歯茎が腫れることがあります。ストレスなどによる腫れは一時的なもので、1〜2週間程度で治まるケースがほとんどです。
ここからは、上記3つの原因の詳細について解説していきます。
原因①歯周病や歯肉炎
虫歯のほかに、歯周病や歯肉炎も歯茎が腫れる主な原因です。
歯周病とは、歯茎や歯を支える骨などが炎症を起こす病気です。一方、歯肉炎とは軽度の歯周病のことで、歯周病・歯肉炎による歯茎の腫れはブヨブヨしていることがあります。
ブラッシングしたり硬いものを食べたりすると、腫れや痛みを感じるのも症状の一つです。
腫れが続くようであれば、我慢せずにできる限り早めに歯科医院を受診して治療しましょう。
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原因②親知らずの周りの炎症
親知らずの周りが炎症を起こすことで、歯茎が腫れることもあります。
親知らずが斜め向きに生えると、ブラッシングが行き届きにくいため汚れが溜まりやすいです。歯垢・歯石が原因で細菌が繁殖し、腫れることがあります。
また、親知らずが歯茎の中に埋まっている状態でも、周囲の組織を圧迫すると腫れにつながります。埋まっている場合、自然に腫れが治る可能性は少ないので、抜歯しなければなりません。
原因③歯茎または顎骨の腫瘍
歯茎や顎の腫瘍といった口腔がんによって、歯茎が腫れる可能性があります。
口腔がんは自分で判断することは難しく、歯科医院で検査した上で診断されるものです。
歯茎や顔が腫れたら様子を見るのではなく、できる限り早く歯科医院を受診するようにしましょう。
口腔がんと診断された場合は、口腔外科などへと紹介してもらって治療を受ける必要があります。また、口腔がんには歯茎の腫瘍のほか、舌がんや頬粘膜がんなどが考えられます。
虫歯や歯周病の腫れを放置するリスク
ここまで、歯茎や顔の腫れの原因について詳しく解説してきました。虫歯や歯周病による歯茎の腫れを放置するのは危険です。
たとえば、虫歯を放置するリスクには次のものがあります。
- 口臭がきつくなる
- 激しい痛みを覚える
- 抜歯が必要になることがある
- 病気を引き起こす可能性がある
虫歯を放置すると激しい痛みを感じるほか、虫歯菌が血液に入って「脳梗塞」や「心筋梗塞」を引き起こすことも考えられます。脳梗塞や心筋梗塞は命に関わる病気のため、十分に注意しなければなりません。
また、歯周病を放置すれば歯を支える顎の骨が痩せていき、最終的には歯が脱落してしまう可能性もあります。
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虫歯で歯茎や顔が腫れたら早期の治療を
虫歯で歯茎や顔が腫れるのは、歯の根部に細菌感染による膿が溜まっている証拠です。この状態は自然治癒することはなく、放置すればするほど症状が悪化し、治療が複雑になるため、できるだけ早く歯科医院での適切な治療が必要です。
腫れの緊急度と受診のタイミング
すぐに受診すべき危険な症状(24時間以内)
- 38℃以上の発熱を伴う顔や首の腫れ
- 呼吸困難や嚥下(飲み込み)困難を感じる
- 顔の片側全体や首まで腫れが広がっている
- 目の周りまで腫れが及んでいる
早急に受診すべき症状(48時間以内)
- 顔の腫れが徐々に拡大している
- 痛み止めを服用しても痛みが和らがない
- 膿が歯肉から出ている(排膿)
- 37℃前後の微熱が続いている
受診までの応急処置
- 1. 患部を氷などで15分ごとに冷やす(直接当てず、タオルで包む)
- 2. 市販の痛み止めで一時的に痛みを抑える
- 3. 塩水でのうがいを1日数回行い、口腔内を清潔に保つ
ただし、これらの応急処置はあくまで一時的な対策であり、根本的な治療にはなりません。必ず歯科医院で適切な治療を受けてください。
治療内容と回復の見通し
症状が重い場合は歯茎を切開して膿を出し、抗生物質を処方します。症状が落ち着いた後、根本原因である虫歯の治療(根管治療など)を行います。
症状が軽い場合でも同様に、膿の原因となっている虫歯をしっかり治療する必要があります。早期に治療を始めれば、通常1〜2週間程度で腫れは引き、より少ない通院回数で完治できる可能性が高まります。
当院では急患対応も行っております。歯や顔の腫れでお悩みの方は、我慢せずにお早めにご相談ください。
このコラムの監修者

小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
日本口腔外科学会 |
日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
歯学博士(口腔外科学専攻) |
日本口腔外科学会認定医 |
厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |