知覚過敏の治し方は?原因・自宅ケア・歯医者での治療と行くべきサイン
冷たい飲み物や歯ブラシが触れたときに歯が「キーン」としみる。そんな症状があるなら、知覚過敏かもしれません。
知覚過敏は、歯ぐきが下がるなどして露出した象牙質(歯の内側の層)に刺激が伝わり、短く鋭い痛みが出る状態です。
また、知覚過敏の治し方は、症状の程度と原因によって変わります。ポイントは次の3つです。
- 軽い症状は自宅ケア(歯磨きの見直し・知覚過敏用歯磨き粉・酸性飲食物への注意)で落ち着くこともある
- 続く場合は歯科医院で薬剤の塗布や象牙質(歯の内側の層)を覆う処置などが検討される
- 刺激を取り除いても痛みが続く・何もしなくても痛む場合は、虫歯や神経の炎症など別の原因が隠れているおそれがあり、早めに受診する
この記事では、知覚過敏の原因、自宅でできるケア、歯科医院での治療、受診の目安についてまとめました。
自宅でできるケアと避けたい習慣
知覚過敏には、強すぎる歯磨きや酸性の飲食物など、毎日の習慣が関わっていることがあります。
軽い症状であれば、ケアを少し見直すだけで落ち着くこともあります。
一方、良かれと思って続けている習慣が、かえって症状を悪化させている場合もあるため、自宅でできるケアとあわせて確認しておきましょう。
自宅でできるケア
- やわらかめの歯ブラシを使い、力を入れずに小刻みに磨く
- 知覚過敏用の歯磨き粉を使う(硝酸カリウムや乳酸アルミニウムなどが代表的な成分です。フッ素配合のものが多く、2週間ほど続けると効果を感じやすいとされます)
- 酸性の飲食物をとった後は水で口をすすぐ
避けたい習慣
- 硬い歯ブラシや強い力で磨く(歯ぐきを傷つけたり、歯の根元の摩耗に関与したりすることがあるとされています)
- 酸性の飲食物を頻繁にとる、長時間だらだらと飲む(歯が酸に触れる回数と時間を減らすことが大切です)
- しみるからといって歯磨きを控える(歯垢(プラーク)がつくと、細菌の出す酸で歯の表面が溶け、知覚過敏がかえって悪化することもあるといわれています)
セルフケアを続けても改善しない場合は、歯周病やくさび状欠損、虫歯など、自宅では対処できない原因が隠れている可能性もあります。
歯科医院で行う治療
歯科医院ではまず、虫歯や歯周病がないかを診察し、しみる原因を特定したうえで治療を進めていきます。
なお、知覚過敏に対する処置には一般に保険適用となるものもありますが、当院では使用する材料や治療方針により、歯の修復や根の治療は原則として自由診療となります。
当院の診療方針は初めての方へをご覧ください。
薬剤の塗布・コーティング
むき出しになった象牙質に薬やコーティング材を塗り、刺激が神経に伝わりにくくする方法です。
使用する薬剤や症状によっては効果が徐々に弱まり、再塗布や複数回の処置が必要になるケースもあります。
象牙質を覆う修復処置
くさび状欠損などで歯が欠けている部分を、樹脂やセラミックなどの材料で覆い、象牙質を刺激から守る処置です。使用する材料や治療方針は歯科医院によって異なります。
欠損が浅く症状が軽い場合には、経過観察となることもあります。
原因への治療(歯周病・歯ぎしりなど)
歯周病が原因で歯ぐきが下がっている場合は、歯周病の治療を並行して進めます。
歯ぎしりや食いしばりによる歯の摩耗・欠けなどが疑われる場合には、歯を保護する目的で就寝時のマウスピース(ナイトガード)を検討することもあります。
神経の処置(最終的な選択肢)
さまざまな治療をしても強い痛みが続く場合には、神経の処置が検討されることもありますが、あくまで最終的な選択肢という位置づけです。
神経の処置が必要になるような歯は、大きな虫歯や過去の治療で歯が大きく削られていることが多く、将来割れやすくなる場合もあります。そのため、まずは原因に応じた治療を優先します。
適した方法は症例によって異なりますので、診察のうえで歯科医師とご相談ください。
知覚過敏とは?仕組みと主な原因
知覚過敏(象牙質知覚過敏症)とは、露出した象牙質に冷たさや歯ブラシなどの刺激が加わって生じる短く鋭い痛みで、虫歯や神経の炎症、歯の亀裂といった別の病気がないのに歯がしみる状態を指します。
象牙質には歯の神経に向かう無数の細い管(象牙細管)が通っており、露出部分に刺激が加わると管の中の液体が動いて神経を刺激し、痛みが生じると考えられています。
象牙質が露出する原因はひとつではなく、複数の要因が重なっていることもあります。代表的な原因を順番に見ていきましょう。
歯ぐきが下がる(歯周病・加齢・強いブラッシング)
歯の根元は本来歯ぐきに覆われていますが、歯周病や加齢によって歯ぐきが下がると、エナメル質に覆われていない歯の根元が露出し、象牙質に刺激が伝わりやすくなります。
また、強すぎるブラッシングは、歯ぐきの後退や歯の根元の摩耗に関与することがあるとされています。
歯のすり減りや欠け、くさび状欠損
歯ぎしりや食いしばりなどによって歯がすり減ったり欠けたりし、象牙質の露出につながる場合もあります。
歯と歯ぐきの境目がくさび形にえぐれる「くさび状欠損」も、露出した象牙質がしみる原因のひとつです。
くさび状欠損の原因は、強いブラッシングや酸の影響など複数が重なっていると考えられており、歯ぎしり・食いしばりだけが原因とは言い切れません。
詳しくは歯の根元の部分がえぐれてしまう疾患「くさび状欠損」についてもあわせてご覧ください。
酸性の飲食物による酸蝕症(さんしょくしょう)
柑橘類や炭酸飲料、黒酢、ワイン、スポーツ飲料などの酸性の飲食物に歯が頻繁に触れる習慣があると、エナメル質が化学的に溶けて、しみやすくなることがあります(酸蝕症)。
胃食道逆流症など、胃酸が口の中に上がってくる病気が関係するケースもあります。
一時的なもの(ホワイトニング・歯石除去の後など)
ホワイトニングの薬剤の影響で、一時的に歯がしみる場合があります。
また、歯石を取り除いた直後は、隠れていた象牙質が露出して知覚過敏と同じような痛みを感じることも。
一時的な場合が多いとされていますが、長引く場合や痛みが強い場合は、処置を受けた歯科医院に相談しましょう。
参考:公益社団法人神奈川県歯科医師会「歯がしみる~原因と対処法~」
知覚過敏と虫歯の見分け方・受診の目安
歯がしみる原因は、知覚過敏のほかに虫歯や歯の神経の炎症、歯のひびなどもあります。
あくまで目安であり、症状だけで原因は確定できませんが、ご自身の症状がどれに近いか確認してみてください。
| 症状 | 受診の目安 |
|---|---|
| 冷たいものや歯ブラシで一瞬しみるが、すぐ治まる | セルフケアで様子を見る。繰り返す・悪化する場合は受診 |
| 刺激を取り除いても痛みが長く残る、以前より長引く・強くなっている | 早めに受診 |
| 何もしていなくても痛む、夜間に痛む | できるだけ早く受診 |
| 噛んだときに痛む | 早めに受診 |
| 歯ぐきの腫れや出血、歯ぐきが下がっていると感じる | 受診(歯周病の可能性) |
| ホワイトニングや歯石除去の直後からしみる | 多くは一時的。長引く・強い場合は処置を受けた歯科医院に相談 |
知覚過敏と虫歯を見分ける目安
知覚過敏の痛みは、刺激を受けた瞬間だけ短く鋭く、刺激がなくなれば消えることが多いとされています。
一方で、刺激を取り除いた後も痛みが残る、何もしなくても痛む、痛みが強くなっている、歯に穴や黒ずみが見える、といった場合は虫歯などの可能性も考えられます。
ただし、初期の虫歯はほとんど症状がなく、症状だけで確実に見分けることはできません。
虫歯が疑わしいときの確認ポイントは、虫歯は自分でわかる?確実な確認方法と早期発見のポイントで詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
歯ぐきの腫れや出血を伴う場合は、歯周病の症状をチェックリストや段階別に解説|治療法と放置するリスクについても参考になります。
知覚過敏に関するよくある質問
患者さまからよくいただくご質問にお答えします。
Q1. 知覚過敏は自然に治りますか?
軽いものであれば、自然に消えることもよくあるといわれています。
ただし、強いブラッシングや酸性の飲食物など原因が残っていると繰り返しやすく、虫歯など別の病気が原因の場合は自然に治まるのを待つべきではありません。
歯周病がある場合は、歯周病そのものの治療が必要です。
Q2. 市販の知覚過敏用歯磨き粉だけで治りますか?
知覚過敏による症状は、知覚過敏用歯磨き粉で和らぐこともあります。
ただし、歯周病やくさび状欠損などが背景にある場合、歯磨き粉は原因そのものを治すものではありません。
虫歯が原因のケースでは、虫歯の治療が必要になります。しばらく使っても改善しない場合は、受診をおすすめします。
Q3. 知覚過敏で噛むと痛いのですが、大丈夫ですか?
知覚過敏の典型的な症状は、冷たいものなどの刺激による短い痛みです。
噛んだときに痛む場合は、歯の亀裂や破折、根の周囲の炎症、詰め物・被せ物の不具合など、知覚過敏以外の原因も考えられるため、早めに歯科医院で診てもらいましょう。
湘南ライフ歯科藤沢の知覚過敏への対応
湘南ライフ歯科藤沢では、しみる症状のご相談に対して、まず虫歯・歯周病・歯の破折の有無を確認し、知覚過敏かどうかを見極めたうえで治療方針をご説明します。
診察で原因を特定したうえで、薬剤の塗布・原因への治療・歯を守る処置など、必要な対応をご提案します。
虫歯が深い場合でも、歯髄保存療法の適応と判断できる際には、MTAセメントを用いて神経をできるだけ残す治療を検討します。
神経の処置が必要な場合の根管治療は自由診療で行っています。
また、当院では一般的な保険診療のコンポジットレジン修復やメタル修復は原則行っていないため、歯の修復や根の治療が必要な際は、原則として自由診療となります。
詳しくは根管治療、MTAセメント、初めての方への各ページもあわせてご覧ください。
急な痛みには急患対応も行っています。なお、下あご奥歯の急な痛みについては、局所麻酔が効果を発揮しにくいため、急患対応をしておりません。
自由診療について
知覚過敏の多くは薬剤塗布や原因への治療で対応でき、以下の処置(神経の保存・根管治療)が必要とは限りません。
虫歯が深く神経に及んでいる場合や、他の治療で改善しない場合に検討します。
※MTAセメントによる歯髄保存療法および根管治療は自由診療(保険適用外)です。
MTAセメントによる歯髄保存療法
治療内容:虫歯を取り除き、露出した神経(歯髄)をMTAセメントで覆って、神経の保存を図ります。
費用:1歯あたり55,000円(税込)。別途、被せ物などの費用がかかります。
期間・回数:処置自体は通常1回。その後、痛みや違和感が出ないか経過を確認し、問題がなければ被せ物の治療へ進みます。
主なリスク・副作用:何もしなくてもズキズキ痛む歯や神経の反応がない歯、歯周病でぐらついている歯などは適応外となります。治療後に一時的な痛みやしみる症状が出ることがあり、経過によっては根管治療が必要になる場合があります。
根管治療
治療内容:炎症や感染を起こした神経や根の中を清掃・消毒し、根の中を詰める材料で封鎖します。
費用:1根管あたり33,000円(税込)。再治療(感染根管治療)は1根管あたり66,000円(税込)。根管の数により異なり、別途、土台(ファイバーコア)や被せ物の費用がかかります。
期間・回数:通常2〜3回程度の通院が目安ですが、症状によって異なります。その後の土台や被せ物の治療には、別途通院が必要です。
主なリスク・副作用:根管の形が複雑な場合は治療できないことがあります。治療後に痛みや違和感が出ることがあり、治らない場合は抜歯や外科的な処置が必要になる可能性があります。
「しみるだけだから」と我慢しているうちに、虫歯や歯周病が進行してしまうこともあります。気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
このコラムの監修者



小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
| 日本口腔外科学会 |
| 日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
| 歯学博士(口腔外科学専攻) |
| 日本口腔外科学会認定医 |
| 厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
| アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |