MTAセメント治療後に根管治療が必要になることはある?神経を残せなかった場合の対応
「MTAセメント治療を受けたのに、まだ痛みが続いている」「神経を残せると聞いていたのに、根管治療が必要と言われた」など、治療後の経過に不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
MTAセメント治療は、神経をできるだけ残すことを目的とした治療ですが、すべてのケースで神経を残せるわけではありません。
治療後の経過によっては、根管治療が必要になることもあります。
この記事では、MTAセメント治療後に根管治療が必要になる理由、治療後の痛みについての考え方、根管治療を検討すべき症状について整理してお伝えします。
「MTAが失敗だったのでは」と不安に感じている方が、次の一歩を判断するための材料としてお役立ていただければ幸いです。
目次
MTAセメント治療後に根管治療が必要になる理由
MTAセメント治療後に痛みが続いたり、神経の状態が改善しなかったりした場合、根管治療が選択されることがあります。
これは、MTAセメント治療が「うまくいかなかった」というよりも、神経のダメージが想定よりも進んでいたことが原因となるケースが多いです。
ここでは、根管治療が必要になる代表的な理由を3つに分けて見ていきましょう。
神経の炎症が治まらない場合がある
MTAセメントは、神経を保護することで炎症が落ち着くことを期待して使用される材料です。
しかし、治療前から神経の炎症が強かった場合、MTAセメントで覆っても炎症が治まらず、痛みが続いてしまうことがあります。
炎症が長引くと、神経そのものが回復できる範囲を超えてダメージを受け、結果的に神経を取り除く根管治療が必要になります。
治療前から神経のダメージが大きい場合がある
虫歯が深く、神経のすぐ近くまで進行していた場合、見た目以上に神経がダメージを受けていることがあります。
治療前のレントゲンや診査である程度の状態は把握できますが、神経の内部の状態は、実際に治療を始めてみないとわからない部分もあります。
MTAセメントで保護した時点では神経が残せると判断されても、その後の経過で神経が回復に向かわないと判明することがあり、その場合は根管治療に切り替えることになります。
神経の感染が進んでいる場合がある
虫歯菌が神経の中まで侵入し、感染が広がっている状態では、MTAセメントで覆っても細菌を取り除くことはできません。
感染した神経は自然に治癒することが難しく、放置すると歯の根の先まで炎症が広がる可能性があります。
このような場合には、感染した神経を取り除き、歯の根の中をきれいに清掃・消毒する根管治療が必要になります。
根管治療の詳しい内容については、以下のページもあわせてご覧ください。
MTA後の痛みはすべて失敗なのか
「MTAセメント治療の後に痛みが出た=失敗」と思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。治療直後には一時的に症状が出ることもあり、経過観察によって自然に落ち着くケースもあります。
一方で、痛みが強くなる、長く続くといった場合には、再度の診査が必要になります。
ここでは、MTAセメント治療後の痛みについての考え方を整理します。
治療直後は一時的に痛みやしみる症状が出ることがある
MTAセメント治療では、神経の近くまで虫歯を取り除き、保護材で覆う処置を行います。
治療によって神経が刺激を受けるため、治療後しばらくは、冷たいものがしみたり、軽い痛みが出たりすることがあります。
このような症状は、神経が落ち着くまでの一時的なもので、数日から数週間で自然に治まることが多いです。
痛みがあるだけで失敗とは判断できない
治療後の痛みが続いていたとしても、それだけで「MTAが失敗した」と判断することはできません。
歯科医師は、痛みの強さ、続き方、症状の変化、レントゲン所見などを総合的に確認し、神経が回復に向かっているか、それとも悪化しているかを判断します。
不安に感じる場合は、自己判断で放置せず、歯科医院に相談しましょう。
痛みが強くなる場合は再受診が必要になる
時間が経つにつれて痛みが強くなる、ズキズキとした自発痛が出てきた、夜眠れないほど痛むといった場合は、神経の炎症や感染が進んでいる可能性があります。
このような症状がある場合は、できるだけ早めに歯科医院を受診し、再度の診査を受けることが大切です。
経過によっては、根管治療への切り替えが検討されます。
根管治療を検討すべき症状
MTAセメント治療後に以下のような症状がある場合、根管治療が必要になる可能性があります。
放置すると症状が悪化したり、歯の保存が難しくなったりすることもあるため、早めの受診を心がけましょう。
何もしなくてもズキズキ痛む
刺激がないのに歯がズキズキ痛む自発痛は、神経の炎症や感染が進んでいるサインです。
MTAセメント治療後にこのような症状が出てきた場合は、神経を残すことが難しくなっている可能性があります。
噛むと強く痛む
食事のときに噛むと強く痛む、特定の歯で噛めないといった症状は、歯の根の先まで炎症が広がっている可能性があります。
このような状態では、根管治療によって歯の根の中を清掃・消毒することが必要になります。
歯ぐきの腫れや膿がある
歯ぐきが腫れている、歯ぐきから膿が出ている、押すと痛みがあるといった症状は、神経の感染が周囲の組織にまで広がっているサインです。
この段階では、神経を残す治療ではなく、感染源を取り除く根管治療が選択されることが一般的です。
自発痛がある場合のMTAセメント治療の判断や、神経を残せる症状・残せない症状について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
自発痛があるとMTAセメントは難しい?ズキズキ痛む場合の治療判断を解説
MTA後に痛みが続く場合は早めに相談しましょう
MTAセメント治療後に痛みが続いたり、症状が強くなったりした場合、根管治療が必要になることがあります。
しかし、治療直後の一時的な症状であれば、経過観察で落ち着くケースも少なくありません。
「失敗だったのでは」と一人で抱え込まず、まずは歯科医院に相談しましょう。
根管治療が必要になったとしても、それは「歯を失う」治療ではなく、「歯をできるだけ長く残す」ための大切な治療です。
神経を残すことが難しい場合でも、適切な治療を受けることで、歯そのものを保存できる可能性は十分にあります。
MTAセメント治療や根管治療について詳しく知りたい方は、以下のページもあわせてご覧ください。
湘南ライフ歯科藤沢では、神経を残せる可能性のある治療から、神経を取り除いた後の根管治療まで、幅広く対応しております。
治療後の経過にご不安がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
このコラムの監修者



小林 浩
Hiroshi Kobayashi
所属学会
| 日本口腔外科学会 |
| 日本口腔インプラント学会 |
認定・資格
| 歯学博士(口腔外科学専攻) |
| 日本口腔外科学会認定医 |
| 厚生労働省 歯科医師臨床研修指導医 |
| アメリカ心臓協会(AHA) BLSヘルスプロバイダー |